クレディ・スイスのAT1債はなぜ無価値になったのか -銀行が発行する資本性証券(AT1・Tier2・TLAC債等)の商品性とそのリスク-

吉良宣哉 氏
長島・大野・常松法律事務所 弁護士(カウンセル)

料金

1人目 29,500 円(税込 32,450 円)
同時申込2人目以降 27,000 円(税込 29,700 円)

講演趣旨

 2023年3月、スイス当局は、経営不安が高まった巨大金融機関クレディ・スイスが発行するAT1債(その他Tier1債)が無価値化されると発表し、いま、金融機関が発行する劣後債の商品性とそのリスクに改めて注目が集まっています。
 日本を含む各国の金融機関は、いわゆるバーゼル規制と呼ばれる国際的な自己資本比率規制を遵守するため、AT1債やTier2債といった特殊な劣後債を発行しています。近時は、これらに加え、TLAC債やMREL債と呼ばれる、発行体の破綻時の損失吸収に備えた債券の発行も進んでいます。
 国内では、低金利環境の中、こうした資本性証券が需要を集めていますが、国や発行体によって適格要件や発行形態が異なることや、ESG債としての特徴を有する商品も発行されるなど複雑化する状況に対し、必ずしも投資家側の理解が追いついていない場面も見受けられます。また、足元では、バーゼルⅢ最終化を踏まえた資本性証券のリスクウェイトの見直しも行われています。
 本講演では、バーゼル規制・TLAC規制の国内導入に関する金融庁の元担当官としての立場から、各種規制の内容や、各商品の特徴・リスクを解説したうえで、クレディ・スイスのAT1債が無価値化された理由、邦銀のAT1債との違い、株式との優先劣後問題等につき、最新の公表情報を基に解説します。

補足案内

  • 企業内弁護士を除き、本セミナーへのご同業の応募はご遠慮ください。
  • 動画視聴のためのURL、ID、パスワードは、お申し込みから2営業日以内にお送りいたします。
  • 視聴期限は、URL、ID、パスワードをお送りしてから4週間です。

講演項目

 1.自己資本比率規制等の概要
 2.資本適格を有する劣後債とその種類
  (AT1債・Tier2債・TLAC債等)
 3.クレディ・スイスのAT1債の無価値化

  (1)無価値化に至る経緯、その問題点
  (2)邦銀の劣後債への影響
 4.保有規制(ダブルギアリング規制・バーゼルⅢ最終化を踏まえた見直し)
 5.質疑応答

講師紹介

吉良 宣哉 (きら よしや) 氏

 2009年東京大学法学部卒。2010年司法修習修了(63期)、長島・大野・常松法律事務所入所。2015年~2019年6月金融庁監督局総務課健全性基準室にて勤務。主な業務は金融機関等への法的助言。専門分野は銀行法・金商法等の金融規制法、金融取引・契約、不動産証券化等のストラクチャードファイナンス、その他一般企業法務。
論文
 「国際統一基準行に対する資本バッファー規制の導入について」(金融財政事情2016年2月22日号)、「TLACに係る枠組み整備方針の改訂について」(共著 金融財政事情2018年5月28日号)、「証券化商品の資本賦課枠組みを見直す改正告示」(共著 金融財政事情2019年5月13日号)等